Schi Heil と叫ぶために

hiroakiuno's blog

テレビメーカーがGoogleと手を結んだら?

CNETの記事より。Google がテレビ広告市場にも殴り込みをかけるらしい。

そしてその技術論文。

TVCMもパーソナライズ化の方向に進むのは確かなんだろう。そのためのアイデアや技術も大変興味深い。でもこの話、ユーザーにとってテレビCMって見なくてよいのなら見たくはないっていう部分が抜けてはいないだろうか?テレビを見るのにわざわざマイクやPCを用意してまで広告を見たいと思う人がどれほどいるだろうか?確かに Google AdWords に代表される p4p の登場によって Web の世界では興味ある広告が表示されることが多くなった。でもあれは AdSense の仕組みが効いているわけで、YouTube の広告ならまだしも、テレビ局がコンテンツを作るTVCMには無理があるのではないだろうか?

ここで秀逸なのは、ユーザーが観ているテレビ番組(=映像)を特定するのに音声を使う、というある種の発想の転換だろう。「映像を記録・解析しようとするとTVチューナーカードやカメラなどの道具立てが大変で、ローカルマシン(=クライアントPC)の計算負荷も相当なものになってしまう。それに比べて、マイクロフォンならいまのPCには内蔵されていたり簡単に取り付けられるし、処理するデータ量もたいしたことはない」といった主旨の説明が、この論文には書かれている。

いずれれにしても、音声で番組を認識するという発想は面白いし、ひとたびユーザが何の番組を見ているのかという入力と、ユーザー側に情報を表示する出力端末(この場合クライアントPC)が準備されれば、今の時代その先は Google の勝ちかも知れない。ただ言い換えればテレビメーカーならPCやマイクを用意させなくともテレビだけで同じことを実現出来るはず。この話、Google が半ば強引にテレビ広告をネットの世界へ引き込もうとしているようにも取れるが、テレビメーカーでもビデオリサーチ社でもない Google が誰の協力も得ずにやろうとしたらここまで出来るよ何やっているの?というテレビメーカーへのメッセージとも取れる。どうやら Google の考えている世界はテレビだけにとどまらないようだし。論文の最後にこう書かれている。

As computational capacities proliferate to portable appliances, like cell phones and PDAs, the fingerprinting process could naturally be carried out on such platforms.

携帯電話メーカーの世界では(これは検索分野の話ではあるが)Google や Microsoft との提携が一気に進んでいる。薄型テレビのシェア争いが激しい家電メーカー。ネットとの融合を試行錯誤しているテレビという商品。実はどこかが先にGoogleと手を結んだら誰も追いつけないのかも知れない。