Schi Heil と叫ぶために

hiroakiuno's blog

テレビとネットの融合 - Rimo に思うこと

また一つネットにすごいものが登場した。はてなが本日公開した Rimo(リモ) というサービスだ。

YouTube の動画を見ることが出来るサービスなのだが、特徴は動画の選択方法にある。ユーザが見たいコンテンツを能動的に探すのではなく Rimo が勝手に選択してくれる点だ。完全なランダムではなく視聴ランキングなどに基づいて決定されるのだが、内容もジャンルも何が選択されるかは全て Rimo 任せ。受動的というよりお任せという言葉がぴったりだろう。

これを見たときふと結城浩さんの Tropy を思い出した。Tropy は Web のページをランダムに表示する CGI。ユーザが文章を自由に追加できるという点で Wiki に似た要素を持つが、検索機能もページ一覧も無くコンテンツとの出会いは偶然。何が表示されるかはクリックしてみないと分からない。

Tropy はテキストを対象としたものだが、Rimo はその動画版と言えるだろう。ならば音声は?と考えるのは非常に楽しいのだが、こちらには従来から音楽の有線放送というサービスがある。残るは静止画版くらいだろうか。書籍では Amazon のお勧めが近いかもしれない。

モノの数が増えたら人はそれを整理しようと考える。棚に整理したり、ジャンル分けしたり、番号の上何桁で分類したり。ネットや PC の世界でも同様で、ディレクトリによる分類やカテゴリによる分類が行わている。そしてそれらでは整理できないほどモノが増えたとき、新たな整理方法としてキーワードによる検索やタグという考え方が生まれた。

数がもっと増えた。そのとき発想の転換が生まれる。全体を認識するのは人間には無理だ。YouTube のコンテンツ数は4000万以上と言われているがその全貌を理解している人はいないだろう。Google の検索結果は最初の15位に入らないと誰も見てくれないとも言われている。

ところで TV の見方には大きく二つあると思う。一つはあの番組が見たいという見方。好みの芸能人が出演しているドラマや応援しているスポーツチームの試合など。これにはキーワードによる検索や新聞の番組欄に代表される分類がぴったりだ。一方で暇だから何か面白いものはやっていないかという見方もある。これはキーワードでは検索しづらい。Rimo はこのニーズをうまく利用したといえる。もちろん TV の前者の楽しみ方は重要である。テレビ局による放送というスタイルが続く以上その楽しみ方はなくならない。そういう意味で従来のテレビと Rimo のようなスタイルとはしばらくせめぎあいが続くと思う。特に前者のスタイルで育ってきた我々には Rimo による選択だけでは全貌が見えず不安になる。これに関して結城さんは Tropy 作成の際にこう述べている。

Tropyのユーザは「全貌をつかめない」ことに軽い不安のようなものを感じます。自分が作ったページを見失ってとまどったり、特定の語を含んだページを探せないことにいらだったりします。普通なら「ユーザはこういうことをしたくなるから、それを機能として追加しよう」と思いがちですが、 Tropyはその逆を行ってみました。つまり「ユーザがそういうことをしたくなっても、機能として追加しない」という方針です。

[結] 2005年11月 - 結城浩の日記

テレビとネットの融合はいろんなところで語られているがまた一歩進んだ感がある。最後に先日ビルゲイツ氏が言ったコメントを引用しておきたい。変化は不安ではあるが楽しみでもある。

マイクロソフトのBill Gatesは「オンラインビデオコンテンツの登場やPCとTVの融合で、5年以内にテレビは大きく変革する。それを理解しない人がいるのに驚く」と語った。

Ad Innovator: Bill Gates:5年以内にネットがTVを変革する