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Schi Heil と叫ぶために

hiroakiuno's blog

新聞社―破綻したビジネスモデル

books

新聞の未来予想図。
新聞はネットに殺されてしまうのか?あるいはネットと融合するのか?それとも新たな道に向かうのか?

新聞社―破綻したビジネスモデル (新潮新書)

新聞社―破綻したビジネスモデル (新潮新書)

著者は昨年まで毎日新聞の取締役だった河内氏。押し紙や部数至上主義という新聞界の異常状態や、ラジオ・テレビ局との護送船団方式によるメディアの独占という問題を整理した後、新聞再生へ向けた具体的プランを語っている。特に、朝日・読売に対抗するには毎日・産経・中日新聞が業務提携するしかないと書いている4章と、ネットとの融合による再生プランを示している5章は必見だろう。

私もここ何年か新聞を定期購読していない。その理由はニュースだけならネットで集められるから。どうせ情報は次の日になってしまうのだから新聞には報道よりもそれに対する意見や様々な関連知識を求める。しかし新聞の顔である社説とコラムは各社全てネットで読める。確かにネットだけでは情報が偏るので、好き嫌い無く情報を収集できる新聞にお金を払う価値はあると思うが、ブログや雑誌など他に読むものも大量にあるし今のところ必要ない。しかし河内氏が提案するE-ペーパーなら購読してみたいと思う。

E-ペーパー構想のポイントは新聞版ロングテール。現在の新聞は平均的な消費者を対象とするあまり全員が欲求不満の総合編成になってしまう。新聞社には紙面に載らない数多くのニュース原稿がある。畜産、水産、林業、石油、宗教、…。それらを捨てず選択肢として全て提供し、ユーザは選択肢の中からいくつか選んで紙面を作る。Google News のカスタムセクションのようなイメージだが、それをニュースの発信元である新聞社がやるというのだ。

「受け手発想、超多品種、少量生産、安価」というビジネスモデルで生き残る新聞社は、19、20 世紀とは似ても似つかぬ企業形態になる。

同じニュースでもレベルに合わせた記事があると面白いだろう。自分の専門分野であれば深く突っ込んだ議論を求めるし、苦手だけど興味がある分野では初歩的なところからの解説があるとうれしい。スポーツ欄だけ英語でとかもありかもしれない。求める情報は人それぞれ異なる。ならばユーザー主導型の新聞編成というのは自然な流れだ。

また、個人的な情報収集の仕方ではあるが、最近ネットでニュースを見たとき、すぐにはてブのコメントを見ることが多い。これはひどいとか、すごいとかちょっとした一言が記事を読むときの参考になる。同様なスタイルで新聞記者という専門家のちょっとした一言があれば読みたいと思う人は多いだろう。特に速報的なニュースに対しての評価は Google でも間に合わない。新聞のニュースは無料でネットへ、意見や解説は有料でというビジネスはダメだろうか?

「既存の企業は秩序破壊技術が本当の危機になるまで、何も手を施さない。本業に固執するあまり、新しいビジネスチャンスを失う。」(バートビジネススクール、ギルバート教授)

常務取締役という立場の人がこれほど明確なプランを持っても簡単には変えられない新聞社という巨塔。大企業ならば何処でも抱える問題である。しかし新聞 2.0 は夢物語ではなく避けられない現実としてやってくるようだ。