あなたはコンピュータを理解していますか? 10年後、20年後まで必ず役立つ根っこの部分がきっちりわかる! (サイエンス・アイ新書)
- 作者: 梅津信幸
- 出版社/メーカー: ソフトバンク クリエイティブ
- 発売日: 2007/03/16
- メディア: 新書
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このタイトルなんできっと CPU や2進数の話から入るのかと思いきや、本書はなんと情報理論からスタートする。第一章のテーマがエントロピーで第二章はチャンネル(通信路)と言えば、情報学を学んだことがある人にはその硬派具合が伝わるだろう。しかし本書はそれを「味噌汁」を使って説明する。なんだかピンポン玉でホークの投げ方を学ぶような感じだが、第一章から第二章で画像圧縮の話までもっていっているのは立派。ちなみに情報理論は私の場合大学3回生で履修し大学院入試にも出た内容。
ただやはり情報理論は数式を追ったり最適な符号化を試行錯誤で考えてみたりしないと本質に迫りにくい。そういう意味で本書で一番良いと思うのはそれに続く第三章の有限オートマトンである。情報理論の味噌汁に比べると自動販売機を例にしていて普通だが、非常に分かり易い説明でタイトル通りコンピューターの理解に迫っていると思う。
問題が難しいのにその難しい部分を避けて本当の理解はできない。ただ本質を理解した人は要するにこうなんだという分かり易い説明ができる。本書は本質が分かったらどのように語れるのかという参考書だと思う。