Schi Heil と叫ぶために

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書評 - 郵便と糸電話でわかるインターネットのしくみ

タイトルから受ける印象の割には、正統派なインターネット解説本だった。

郵便と糸電話でわかるインターネットのしくみ (集英社新書)

郵便と糸電話でわかるインターネットのしくみ (集英社新書)

TCP/IP などのネットワークの解説記事は Web にもごろごろしているが、それらの内容を評価する時、私は、

  • バカハブ、ブリッジ、ルーターの違いをずばりレイヤの違いだと言いきっているか
  • MAC アドレスと IP アドレスどちらも一意なのに何故二つも必要なのか説明しているか

をチェック項目にしている。理由はいたって個人的なもので、学生時代に初めてちゃんとした解説本を買って読んだときその2つがよく分からなかったからだ。特に前者については「要はレイヤが違うんだよ。それを理解してないと訳が分からんくなる。」とある人から教えてもらって目から鱗が出たのを今でも鮮明に覚えている。本書では

OSI基本参照モデルの中でこれまでに紹介した中継用機器を位置づけると、ルーターはネットワーク層、ブリッジはデータリンク層、リピータは物理層と、所属している階層が違うのです。

それは、物理アドレスであって変えることができない、という MAC アドレスの特性に起因しています。
(中略)
これではネットワークごとのアドレスによって通信を制御することができなくなります。そもそも、買ってきた段階でアドレスが設定されている以上、隣同士のパソコンでさえアドレスはばらばらになりますから、階層化されたアドレス処理は最初から不可能です。

とあって個人的には合格とえらそうに思いながら読んでいた。オーソドックスな内容だが、本当に分かっている人が書いているというのが伝わってくる良書だと思います。