Schi Heil と叫ぶために

hiroakiuno's blog

あらためて MStar すごい

この日経の記事非常に参考になったので記録しておく。

(ほんとによく調べてあると思ったら日経エレの2月20日号の再編集だったみたい。まあ気にせず。)

まず ASSP という単語。MediaTek や MStar は ASSP ベンダーと呼ばれるらしい。ちなみに ASIC と ASSP の違いは以下の通り。

  • ASSPは、特定の顧客用にカスタマイズされていないため、顧客を限定せず、複数の顧客に汎用部品として提供することができるという利点がある。多くのメーカーが参入している製品の部品などをターゲットに作られることが多い。
  • ASSPに対して、顧客の要望に応じて設計・カスタマイズされた部品がは、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)と呼ばれている。

ASSPとは (Application Specific Standard Produce): - IT用語辞典バイナリ

比較して描かれているアメリカ企業の衰退の歴史も分かり易い。

かつて市場を支配した米国企業は、元気がない。老舗の米Zoran社は英CSR社に買収され、一時トップシェアに立った米Genesis Microchip社は伊仏合弁のST Microelectronics社に買収され、それぞれ事業再構築が進められている。米Trident Microsystems社は、2012年1月に破産を申請した。Intel社は、2011年11月にテレビ市場から撤退している。

売り上げシェアはこんな感じだそうだ。
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MStar がなぜここまで大きくなったのかの理由を二つ挙げている。

  • 第1は、テレビ用品種に事業の焦点を定めた上で、客先として韓国企業を重視したこと。
  • 第2は、「ターンキー・ソリューション」(詳しくは後述)の有効性を熟知した上で、それに必要な膨大な業務をこなす若手技術者に対して積極的に報酬を支払ったこと、である。

MStar の業務の仕方。Sumsung や LG に張り付いて仕事しているらしい。

MStar社はSamsung社に納入を始めた当初こそ「要求に応えきれないこともあったが、今では画面のユーザー・インタフェースを一部改変する以外、顧客の手を煩わせないことが多い」(MStar社の従業員)という。

MStar社は、FAE(フィールド・アプリケーション技術者)などとして韓国人社員をSamsung社に20人ほど、LG社に10~20人ほど、それぞれ張り付けている。

Sumsung の全部というわけではないらしい。

Samsung社は高級機にASICを採用しているので、MStar社の納入対象は低~中級機に限られる。

ターンキーってカギ回すだけという語源だったんだ。知らなんだ。

「お客様はカギを回すだけ、ASSPベンダーがすべて面倒なことをやります」という事業モデル

かなりの学歴社会らしい。

若手のうち、優秀か否かを決める圧倒的に大きな要因は、学歴である。「臺清交成」(成は成功大学)と呼ばれる一流大学の大学院を卒業しているとMStar社では「資深(senior)」という肩書きが付きやすく、月給が1万台湾ドル(2.7万円)アップする。台湾の物価は日本の半分ほどなので5万円アップに相当する。

福利厚生と言えば google が有名だが、MStar のお見合いサービスもすごい。

お見合いサービスは、「最高の福利厚生」と社内の一部で言われるほど好評だ。これは人事部が1年に1回ほど男性社員に提供するもので、「25歳」「百貨店勤務」といった女性のプロフィールを人事部が社員に通知する。それに関心を持った男性が応募し、後に長テーブルを挟んで次々相手を替えながら会話できるというもの。「うちの社員は働きまくりだから、他業界の女性と知り合う機会がない。ホントありがたいシステムだよ」(男性エンジニア)。

MediaTek や MStar に就職すると兵役を免除されるらしい。

台湾では、ハイテク企業が人材を確保し選別する上で、兵役が非常に有効に機能している。「研發替代役」という制度があるためだ。軍隊に1年3カ月入隊する代わりに、台湾政府が認めた大学院を出て、認定された企業や研究機関で約3年勤務すれば兵役を果たしたとみなされる。

エリート特別扱いというのも人間の豊かさという側面ではどうかと思うけど、そんなのやだやだと言ってもビジネスではそういう会社や国と戦っていかなければならないわけで、日本企業はきれいごと言いましたが負けましたとならないようにしないといけない。マジで。