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Schi Heil と叫ぶために

hiroakiuno's blog

書評 - ワーク・シフト ― 孤独と貧困から自由になる働き方の未来図〈2025〉

働き方が変わるってどう変わればいいのか。なぜ変わらないといけないのか。それってきれいごとじゃないのか。リスクに見合うのか。本当に正しいのか。そんな葛藤はしょっちゅうある。

ワーク・シフト ― 孤独と貧困から自由になる働き方の未来図〈2025〉

ワーク・シフト ― 孤独と貧困から自由になる働き方の未来図〈2025〉

途中で積読になっていたワークシフトを改めて読んでみた。抽象的なきれいごとだけを述べているのではなく、かといって自分に当てはまらない具体的すぎるケースばかり並んでいるわけでもなく、何というかちょうどいい。もちろん未来に決まった答えなどないし、これを読んだからと言って安心できるわけもないのだが、その一つの答えを論理的に導こうとしている非常にしっかりしたストーリー。特に8, 9, 10 章で三つのシフトをサマっている個所は、また間を開けて読み返し頭に入れておきたいと思う。おすすめです。

  • 第一のシフトは、ゼネラリストから「連続スペシャリスト」へ

昔は一つの会社に勤めるのが普通でその会社がコースを用意してくれるので、キャリアは会社任せにしておけばよかった。でもそういった企業と社会の関係が変わっていく。すると会社を熟知しているだけの会社人間には価値がなくなる。

問題は、そうした旧来の終身雇用の「契約」が崩れはじめたことだ。ゼネラリストがキャリアの途中で労働市場に放り出されるケースが増えている。そうなると、一社限定の知識や人脈と広く浅い技能をもっていても、大した役にたたない。

広く浅いゼネラリスト的な技能はネットの情報にとって代わられる。ネットのニュースたくさん読んでたくさんブックマークしてそれで人より賢くなった気になってしまうことも多いが、しょせんスポーツ新聞で芸能情報読んでる程度の暇つぶしであって、もちろん情報収集という趣味を楽しむ分には構わないがそれだけでは何も生み出さない。本書によるとゼネラリストを脱却し連続スペシャリストになる必要があると。悲しいけど近所の物知りおじさんの時代じゃないんだろう。

テクノロジーの進化とグローバル化の進展により人と人との結びつきが強まる半面、私たちはいま以上に時間に追われ、孤独を味わうようになる。

既に私の周りもそんな時間に追われている状況が増えていると思うが、そのために三種類の人的ネットワークが必要になるとのこと。

関心分野を共有する少人数のブレーン集団である「ポッセ」、多様なアイデアの源となる「ビッグアイデアクラウド」、そして安らぎと活力を与えてくれる現実世界の友人などで構成される「自己再生のコミュニティ」

  • 第三のシフトは、大量消費から「情熱を傾けられる経験」へ

働いて給料を受け取り、そのお金で消費して幸せを感じる―この古い約束事は、もはや機能しなくなっている。

お金と消費から創造と経験へ。他にもワークライフバランスダイバーシティ。いろんなところで言葉は聞くしそういう意見があるのは分かっている。でもそこには葛藤がある。

現場管理職より上に昇進することなく、ストックオプションで巨万の富を築くこともなく、よき父親として、あるいは自分の成長を重んじる人物として職業人生を終えた人物がメディアで称賛を浴びることなど、あるのでしょうか?

この本が単にきれいごとを並べただけの本ではなく共感できたのはこの部分がちゃんと書かれていた点。

<シフト>をおこなうとは、覚悟を決めて選択することだ。

すべてを環境任せにして、自分で選択することを放棄するのは簡単だが、それは、ドイツの心理学者エーリッヒ・フロムが「自由からの逃走」と呼んだ態度、すなわち会社や社会の規範に同調し、自分の個性を軽んじる態度にほかならないのかもしれない

自分と家族の充実のためにいろんなシフトが必要だと思った。