映画イルマーレを見てきた。2000年にヒットした韓国映画のハリウッドリメイク版だそうで、タイトルの「イルマーレ」はイタリア語で「海」を意味するらしい。2004年と2006年という二つの異なる時間軸上にいる二人が、同じ湖畔の家のポストを通じて手紙で交わるという時空を超えるラブストーリー。時空という人間が自由にコントロールできない何かと、恋愛というこれまた自由にコントロールできない人の心にある何か。
時空を扱った小説というと私はすぐに宮部みゆきさんの小説を思い浮かべるが、タイムトラベルのようなテーマを扱うには豊な想像力に加えて矛盾の少ない世界を描くための数理的な力が求められるだろう。人間が理解できない世界だからこそ人間が理解できる設定をうまく作らないと突っ込みだらけになってしまうからだ。そのため例えば過去を変えることは許されないなどのルールがよくある設定。時空警察が禁止しているとか。今回のイルマーレは過去を動かせる設定。ただしそこは推理小説ではなくラブストーリーの成せる力。もちろん突っ込みどころはあるがそれを言えば恋愛なんてという話。いずれにしても面白い映画でした。
ところで世の中には時空を超えるいわゆるタイムマシンを真剣に研究している物理学者がいるらしい。光速に近い速度で移動すれば普通よりも歳を取らないという相対性理論から導かれる興味深い結論とか。私にはせいぜいその匂いを嗅ぐことくらいしかできないが。
もし異なる時間軸を移動できるとすれば、その全ての時間軸を収めている場があるということだろうか。どんな大きな2次元平面も3次元空間においては体積はゼロである一方で、3次元立体は無限の平面にスライスすることが出来る。我々の住む世界を3次元空間に時間軸を加えた4次元世界と考えた時、しかしそれは我々が全く理解することができないn次元空間上のほんの一部分の写像なのかもしれない。