人間対人工知能のポーカー対決という話題。
世界初の「人間対機械」によるポーカー大会が開催される。これは、2007年7月23日〜24日の日程でカナダのバンクーバーで開かれる、アメリカ人工知能学会(American Association for Artificial Intelligence:AAAI)が主催の会議の中で行われる。対戦するのは2人のポーカー・マスターと、米Alberta大学が開発したコンピュータ・プログラム「Polaris」だ。
チェスや将棋と比べてポーカーは運の要素が強いので当然一発勝負の結果ではどちらが強いか判断できない。したがって何回か勝負してその合計で勝敗を決めるのだろう。リミット・テキサス・ホールデム方式というポーカーのルールがいまいち理解不足だが、基本的にはコンピュータ側の戦略は確率論になるはず。
面白いのは相手は人間なので心理的な部分をどのようにプログラミングするかということ。特にはったりをかますブラフのアルゴリズムをどう記述するのか非常に興味深い。単なる独立事象として扱うのではなく過去の結果も考慮してゲームの流れを理解する必要もあるだろうし、途中で相手の癖を学習するのもおもしろい。一方人間側もコンピューターのアルゴリズムを読んでいかに判断を狂わせるかという点が一つの鍵となり、人間対人間の勝負とは攻め方も異なってくるだろう。
ただ突き詰めて考えるとやはりポーカーの持つ特性はチェスや将棋の持つそれとは異なり、結局プログラマーがいかに優れた戦略をもつギャンブラーかが分かるだけではないだろうか?つまりプログラミングコンテストとしては非常に面白い題材だが、アカデミックな AI の研究対象としてどうなのだろうかという点。主催がアメリカ人工知能学会とあるのでそれなりに思惑はありそうだが。
欲の無いコンピューターと欲の塊である人間。追い込まれたらどっちが強いのだろうか。
2007-07-28 追記
人間が勝利した模様。
ポーカーで勝てば知能なのかという議論はあるかと思う。チェスや将棋の探索空間は超膨大ではあるが一応有限なので、究極的には先手必勝か後手必勝かが分かる時がくるかもしれない。一方、ポーカーはそういった種類のゲームではないので、チェスとは違う面で知的なアルゴリズムが必要になる。こういった蓄積がいずれは知能を持つコンピューターにつながることを楽しみにしたい。