クラウドって結局「あちら側」と何が違うのだろうか。そんな疑問を解決するため下記の書評を頼りにいちばんよさそうな一冊を読んでみた。
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結論から言うと「あちら側と同じ」という理解でよさそうだ。微妙なニュアンスの違いとしては、あちら側という言葉が(少なくとも私には)何をあちら側においたらこちら側が楽しくなるかというユーザー視点・アプリケーション視点の話を思い浮かべるのに対して、クラウドはあちら側を支えるサーバーセンターやネットワークなどのインフラ・コンピューティングパワーに重きを置いた用語のようだ。本書でクラウドの定義はこれだという書き方はされていなかったが、クラウドの定義を整理した形で理解したいという人に対しては、マッキンゼーがまとめたクラウドコンピューティングの定義が役立つ。
アプリケーション視点のクラウドとインフラ視点のクラウド。どちらも魅力的だが大きな会社で働く人にとっては Google や Amazon や Sun が後者の視点で自社のプラットフォームを外部に提供するサービスを進めていることに注目すべきだろう。
これはあくまで私の解釈にすぎないが、クラウドという言葉が流行っているからといって、大きな会社が前者のクラウドだけを考えていたらだめだ。前者のクラウドのほうがイメージしやすいので、クラウドという言葉を聞いたお偉いさんは、時代に乗り遅れないよう我が社の商品もクラウドにつなげようとなりがちであるが、前者は広く開かれている分レッドオーシャン化しやすい。もちろん遅れないようについていくべきではあるが、小回りのきくベンチャーに勝てるわけがない。逆に、後者のクラウドは技術と先見の明と資金を兼ね備えた限られた会社しかできない。Google が(いまさら)ブラウザや OS を抑えにかかっている意味はそこにあると思う。
なお本書では Google の Android 戦略についても詳しく述べられている。歴史などが分かって面白い。
クラウド グーグルの次世代戦略で読み解く2015年のIT産業地図
- 作者: 小池良次,石田 晴久,國領二郎
- 出版社/メーカー: インプレスR&D
- 発売日: 2009/02/26
- メディア: 単行本
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