ぱっと思いつく戦略は3つ。
- 諦める
- 頑張って諭す
- ひとりでやる
少し前になるが、Ruby のまつもとゆきひろさんとお話する機会があった。世界に誇る日本のハッカーと直接お話できるまたとない機会だったので、日ごろから気になっていた質問を時間の許す限り投げかけてみた。それぞれうんうんと親身になって聞いてくれたが、その一つに「多人数での開発において他人の書いたソースコードの書き方とかが気に入らないところがあったらどうしますか?」という質問をしてみた。
まつもとさん曰く、
基本的に自分に関係ないところは気にしない。
とのこと。かなり意外だった。
ただしその後笑いながらこう続けていた。
まあ基本的にはそうだけど、ここは気に入らないと思って夜中のうちにあいつのコードを全部書き換えて置いたことはあるけどね。
後のコメントの方がらしいと思うが、ひと言目が前者だったことと、 さらに 2 が一つも無かった点が興味深かった。まつもとさんって誰がどう見てもこだわりの人だと思う。何といっても他にいいのがないからと言って自分でプログラミング言語作るくらいだから。でも「2 をやったけど駄目だったら」とか「人にもよるけど」といった枕詞が一つもなく、ひと言目が「気にしない」だった。
- 意味が通るからそれでいいんじゃないという小説家がいるだろうか
- 一通り描いたからそのままでいいという画家がいるだろうか
- とりあえず住めるからそれでいいやという建築家がいるだろうか
- 十分食べられるしそこそこおいしから苦情が出るまではそのままでいいんじゃないというラーメン屋がいるだろうか
- ギリギリだけど試合に勝てたからそれでOKというスポーツ選手がいるだろうか
これらは 2 だ。ただこだわっていない人に自分のこだわりを伝えるのは難しいし、押し付けるのも何か違うと思う。