池田信夫 blog(旧館) で有名な池田さんの本。久々に2度読みした本。
過剰と破壊の経済学 「ムーアの法則」で何が変わるのか? (アスキー新書 042)
- 作者: 池田信夫
- 出版社/メーカー: アスキー
- 発売日: 2007/12/10
- メディア: 新書
- 購入: 3人 クリック: 154回
- この商品を含むブログ (65件) を見る
専門の経済的な観点だけでなく、トランジスタや OS やデジタル化ってそのそも何なのかというような根本的な部分について、それは要するにこういうものだという説明が非常に素晴らしいと感じた。本当に理解していないとここまで割り切って言えないと思う。
全体的に説明は分かりやすいが、内容は非常に濃く、ポストイットが張りたくなる箇所がいくつもあったがひとつ挙げるとすれば私はここを選ぶ。
p.153
ただ、あと10年ムーアの法則が続くだけでも、半導体のコストは1/100になる。
(中略)
企業戦略を立てる場合にも、5年くらいの中期計画なら情報処理コストが1/10になった場合を、10年の長期計画なら1/100になった場合を想定する必要がある。情報コストが1/100になる世界というのは想像しにくいが、それは逆に半導体(およびハードディスク・光ディスクなどの部品)以外のものの相対価値が100倍になると考えればよい。この場合、重要なのは情報コスト自体の変化よりも、その変化によって何が過剰で何がボトルネックかという関係が変わることだ。
我々の開発の現場における一つ一つの判断も同じだと思う。要するにボトルネックとは人が手間隙かけなければいけない部分である。何年も使えるプラットフォームを目指すためには、去年あったらうれしかったものではなく、10年後なければつらいものを作らなければいけない。それが何なのかを見誤り投資のベクトルが現在にしか向いていないと、いつまでたってもその場しのぎにしかならないだろう。