Schi Heil と叫ぶために

hiroakiuno's blog

押してだめなら引いてみろ

最近知った下記のWebサービス。画像認識の分野の研究成果を応用したものである。*1

研究という観点で見ると、車や人物の検出でよく用いられる背景差分という手法を統計的に用いただけのように見える。サンプルを見る限り、この手の研究で議論のポイントとなる照明変化に強い頑健性がアピールというわけでもなさそうだ。言い換えれば、基となる技術はまだまだ認識率100%にはほど遠いものである。しかしその段階で上記がサービスとして提供されている点に注目したい。

最近、SaaS (Software as a Service) という用語がよく使われている。新しいサービスはアイデアだけで生まれるわけはなく、それを支える基本的な技術があり、その技術が生まれるまでにはそこに至る数々の研究成果がある。一方、研究成果を報告する論文でもデモや実験は合わせて載せられるが、その性格上、その研究の学術的なポイントを明確にするためのネタが選ばれる。

言うまでもなくその技術のの本質を理解することは重要である。しかしそれをビジネスとして応用する場合、正統派の見方に加えて、Yet Another な見方で眺めることは重要だ。上記の例で言えば、人物を切り出すのではなく背景を作りたいだけである。照明条件や精度の課題は抱えながらも、Web2.0 の考え方に習って、無料であれば文句も出ないだろうしそれで十分面白い。

画像や音声認識の研究をどうやってビジネスにつなげるかはこれからの大きな課題であり面白いところである。重要なのはそれをどんな眼で見るのか。正統派の自分と別の角度から眺める自分。天使と悪魔ではないが、後者はちょっとくらいひねくれていた方が良いのかもしれない。

*1:via [http://labs.cybozu.co.jp/blog/akky/archives/2006/07/tourist_remover.html:title]