Schi Heil と叫ぶために

hiroakiuno's blog

ニュース記事で行った気になる 2011 CES まとめ (その2)

その1の続き。
今回は海外メーカー(Samsung, LG, Visio, 中国勢) のテレビについて眺めてみたい。

ネットのニュースを俯瞰すると技術的なポイントは、

  • アプリストアとの連携
  • タブレット・スマートフォンとの連携。リモコンの進化ともとれる。
  • 3D の進化

に分類できそうだ。

まずはアプリストア。Android な機器の場合 Android Market を使うことも魅力の一つになるが、iPhone の経験からどの会社もアプリストアは元締めが一番おいしいことを知っている。Samsung Apps は去年から始まっているが、LG も LG AppsVisioVIZIO Internet Apps+ と独自のアプリストアを展開して、アプリのダウンロードサービスを進めている。ただしどのメーカも独自でやっても2番手では意味がないことも知っている。もちろん自社のアプリストアが勝ち残って、他社がそれを使うようになってくれればハッピーだが、おそらくそれはないだろう。そうなると Android Market のような公開のアプリと今後どう組み合わせていくかというのがポイントになる。それは分かっているが出遅れるわけにはいかないのでまずは独自のストアを用意したと見るのが正しいと思う。よってこのトレンドには続きがあるはず。

ちなみに Samsung は今回の CES で TV アプリのコンテストの発表を行ったそうだ。その優勝作品がこちら。

PC や iPad で絵を描いていきそれを TV にリアルタイムに表示して何を書いたのか早押しで当てるゲームのようだ。ゲームとして作りこんだ点が評価されたのか、技術的な部分が良かったのかまでは分からないが、ゲーム自体はそれほど大ヒットという感じはしない。結婚式の二次会には使えそうだがどうだろうか。

続いて機器連携。これは別に新しいテーマではないが、折しもタブレットブームなのでシナジー的な宣伝もかねて、動画転送や入力端末として使えるという部分がアピールポイントになっている。入力端末としては Wii リモコンや PS3 Move ような LG の TV リモコンXboxKinect のようなジェスチャー認識も徐々にレベルが上がっている。

例えば中国の TCL 社のジェスチャー認識のデモがこちら。

個人的にはジェスチャー認識の精度がいくら上がってもそれだけではリモコンに勝るとは思えないが、中国メーカがここまで来ているというのは日本のエンジニアとしては抑えておくべきだと思う。というのも Kinect の技術を手がけているのはイスラエルの PrimeSense という会社らしいのだが、ここがどうやら TV や PC 向けに技術を展開しているらしい。
Kinectの技術、ASUSのパソコンやHaier製テレビに波及へ CES2011 :日本経済新聞
ここが差異化のポイントとなると判断したら自社開発だが、そうではないと考えたら早く手を結んでスピート重視という判断もある。ちなみに中国の Haier という会社も Android ベースの TV を今年売り出すらしい。
ニュース - [CES2011]中国HaierがAndroidベースのテレビを展示,構成はGoogle TVに類似:ITpro

その他のサービスの連携としては Samsung の強力なパワーが目に留まる。Samsung の基調講演 を見ると、CATV 会社や Hulu あるいは Adobe と連携を深めている。CES はアメリカで、アメリカは基本的に CATV 文化なので STB が各家庭に一台ある。それをクラウドに持っていくと考えれば理解が早い。Adobe とは Flash だけなのだろうか。気になる。

最後に 3D。グラスレス 3D が一つのトレンドだが、個人的にはメガネあり3D で LG や Visio がパッシブ方式を進めているのが気になる。
【CES】VIZIO、パッシブ型シネスコ3D液晶テレビやTV向け独自アプリプラットフォームを発表 - Phile-web
パッシブ方式というのは、簡単に言うと映画館の 3D と同じ方式。パッシブなのは「メガネが」という意味で、偏光や波長の違いを利用して右目と左目に別の映像を届ける。逆がアクティブ方式で代表例がシャッターメガネ。電池など電気的な力を借りてシャッターを動かすのでアクティブと呼ばれているのだと思う。現在市場に出ている 3D TV の多くはアクティブ型。パッシブ型の方がテレビ側が複雑になるが、メガネは単純つまり安くできる。よって映画館の 3D メガネはちゃちい。経営的にはパネルのコスト vs メガネのコストということになるが、グラスレスが既に商品化され始めているので、グラスあり vs グラスレスも含めて設備投資をどこに集中させるのかという予想が難しく、だからこそ面白いとも言える。


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