Schi Heil と叫ぶために

hiroakiuno's blog

CEATEC 2011 レポート

CEATEC に行って来たのでその覚書。何年かぶりに足を運んだが世界三大家電祭りの一つといいながら、LG や Samsung の参加はなく、もちろん Apple の姿もない。今年はマイクロソフトも展示がなかった。小さな屋台みたいな中国/韓国系のブースはいくつかあったが、CES や IFA であれば目立つ荒削りの中国メーカーの姿もない。そのうちお祭も中国に奪われてしまうのかなと思った。

さて、事前にニュースを見てみると今年の CEATEC のキーワードは 4K2K に代表される ポストフルハイビジョンテレビ だったそうだ。確かにスマホ・タブレットのアピールはそれほどでもなく、逆に言うとこれらはもうその他商品と同じレベルになったのかもしれない。

私の印象では、今回の展示は大きく

  • ポストフルハイビジョンテレビ (4K2K/超解像/グラスレス3D)
  • 省エネ・新しいライフスタイル (エコ/蓄電/発電/スマートタップ/スマートハウス)
  • 単なる新製品の宣伝
  • その他の技術

に分類できたと思う。震災の影響から、例年個々の商品でアピールしている省エネ・エコの展示をさらに一歩進め、日産のリーフをバッテリーに使うみたいな家とか部屋丸ごとの展示が多かったと思う。新製品の中では au の Windows Phone がすごく欲しくなった。 タイル UI といわれる Windows の新しい UI に触れてみた印象は正直「楽しい」で、ここもメニューが開くのかというような宝探しのような感じ。Android 搭載の機器が溢れて代わり映えがなくなってきたいま、逆に Windows が新鮮に感じたのは少し皮肉でもある。サクサク感も十分で、重い・分かりづらいという悪い印象はそこには無かった。

ちなみに、長い行列ができていたのは

あたりでやはり 4K2K はメインテーマだったと思う。(もちろん行列になるかどうかは展示の仕方やスペースにも依存するが)

そんな中「その他」の中では AR とワイヤレス給電が目立っていたと思う。AR (augmented reality) は上に挙げた日立とパイオニアのほか au もプレゼンのキーワードに挙げていたし、私は時間がなくて立ち寄らなかったが Intel も同じく AR ネタで 良くわらかないデモ をやっていたみたいだ。いまさら何でまた AR の研究が流行ってるんだろうかと疑問に思い、パイオニアの人に失礼ながらそのままダイレクトに聞いてみたが、パイオニアの展示は研究ではなく商品化だとのこと。AR は CEATEC のような場で見栄えがよいのでよく話題になるが、いよいよ商品化ということか。でも売れるんだろうか。

ワイヤレス給電は実は今回私が CEATEC に足を運んだ理由の NO.1 で、気にはなっているが素人なのでとにかく概要を学ぼうとした。事前にネットで

にワイヤレス給電の展示があることを調べておいた。

ワイヤレス給電には「電磁誘導方式」「磁界共鳴方式」など様々な方式がある。まず Qi(チーと読む) というのは Wireless Power Consortium(WPC) による国際標準規格だそうで、この規格に準拠していれば他メーカーとの互換性が取れるというもの。Qi のブースで展示していたものはすべて電磁誘導方式だが、これは他の企業ブースでは新しい技術や方式の研究発表をしている一方で、Qi は実用化を進める上での互換性や安全性基準の話をしているという点を抑えておかないと混乱する。というか混乱した。実用化レベルになっているのは電磁誘導方式で、他の方式はまだ研究レベル。Qi で言いたいのはその規格統一の話。

全然予備知識もなしに「どう違うんですか」「課題は何ですか」という同じような質問をしていくうちに、ワイヤレス給電では

  • 出力ワット
  • 届く距離
  • 安全性
  • サイズ

あたりをキーワードとして頭に入れておけば、素人でもそこそこ格好がつく会話が成立することが分かった。ほとんどの展示がスマホの充電とかなので、出力が出ないのが課題かと思いきや、Qi では既に120W まで規格化されているとのこと。要はコイルなので巻けば出力は出ると。ただ巻きまくるとコイルの重さがハンパなくなるので、田淵電機でアピールしていたのはコイルの軽量性という風に展示を見ていくと話が繋がる。届く距離も徐々に伸びてきており数メートルというのも視野にはいってきているらしい。研究から実用に向かう上で避けられないのは安全性だ。全然テストもしてないような機器を載せて発火したというのは避けなければならないので Qi では認証を取っていない機器は充電しないようにするという話も聞けた。普及すれば機器同士の干渉も問題になるが、TDK の共鳴方式のポイントは電磁誘導と違って干渉が起きにくいということだった。

ワイヤレス給電が普及すれば世の中大きく変わると思う。バッテリーが不要になる。コンセントがなくなり部屋のレイアウトの物理的制約が一気になくなる。自動車から給油という概念がなくなるかもしれない。電機の祭典で電気の進化を感じた CEATEC でした。