Schi Heil と叫ぶために

hiroakiuno's blog

書評 - 精神科医の本音

精神科医療への偏見をなくす分かりやすい説明や、心療内科のビジネス事情や通い方など結構タブー視されているじゃないかというところも素直に書かれている。心のケア的な本はたくさんあるが、こういった精神科医療の裏側みたいな本はあまり少ないのではないだろうか。

精神疾患について学ぼうと思って、最近、睡眠やストレス、メンタルの本を読んでいる。興味をもって調べているうちに、この先生の YouTube にたどり着いた。説明が合うと思ったので本も読んでみた。

それにしても YouTube が自分にとってこんなにうらやましいメディアになるとは思っていなかった。人に分かりやすく教えるというメディア。ヨビノリ もそうだし、フィットネスのチャンネルなんかもそう。元々私は人にものを教えるのが好きだ。だから学生時代塾のアルバイトも好きだったし、スキーを人に教えるのも好きだった。仕事として学校の先生は考えたことがあるが、小中高だと毎年同じことを教えるのはモチベーションが持たないかもと思ってやめた。大学の教授は教えると言うよりは研究なのでそこには限界を感じてやめた。

何か自分が学んだり苦労して理解したことを分かりやすく伝えるそんな仕事がやりたいと思っていたが、具体的には思いつかず、今の仕事に就いた。仕事の中でもプレゼンを分かりやすくすることには楽しみを感じる。要はこういうことだよねと整理するのも好きだ。そんな思いがあれこれ20年近く続いていたが、そんな中こういった教育系 YouTube である。医療は教育ではないかもだけど解説と言う意味では近い。

テレビ番組の延長ではなく、単にビューを稼ぐための〇〇やってみた的な娯楽でもなく、勉強会・街のカルチャーセンター的なメディア。もちろん人気を得るには大変な部分があるだろうが、それが仕事になるってうらやましいなと思う。

さて、本の内容に。

著者が言うように、精神疾患ってどうしても心が弱いからかかると思ってしまっていたが、

うつは甘えなどではなく、単なる臓器の不調です。

とある。

また、心療内科というのはカウンセリングみたいなものかと思っていたが、脳が病的なんだから薬という化学物質でバランスを調整していくことは重要とのこと。

それまで宗教や文学で扱っていた不安や人生の悩みを「脳の問題」だと考え、個人が抱えていた責任から解放したのです。これこそが精神医学の本質です。 精神障害の原因を、「心」という概念的なものではなく、「脳」という機能的なものに求めた ということです

私の心に残ったのは

精神科医療で扱う病気の場合、「治療」とは「元の状態に戻る」というよりも、「受け入れる」や「共存する」のイメージの方が近い気がします

だ。